小学館の作品紹介に並ぶのは、ゴミを木に変える植木、溺れると午前7時に戻る斎下、藁を1本だけ動かせる天良木です。
福地翼さんの主人公たちは、一筋縄ではいかない能力を手にしています。
その能力の発想は、どこから生まれるのでしょうか。
本人は起源として『ジョジョ』第4部を挙げ、短編では人間関係から能力を考えたことも語っています。
能力ものの起源に挙げた『ジョジョ』第4部
福地さんは2016年の本人回答で、能力ものの起源を尋ねられ、『ジョジョ』第4部と答えています。
なかでもハイウェイスターという敵が登場するエピソードを、当時もときどき読み直して参考にしていたそうです。
福地さんが「能力バトルの真骨頂」と評するほど、強く惹かれた話でした。
「もう片方しか出ない能力」は、友情の話から生まれた
『片岡さんのもう片方』のおじさんは、対になった物の片方だけを出せます。
箸が出ても1本だけ、という困った能力です。

福地さんは2022年の本人インタビューで、この短編の発想を説明しています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が好きで、少年とおじさんの友情を描こうと考えたのが始まりでした。
次に、二人が仲良くなるきっかけとして、好きな能力ものを組み合わせることを考えます。
福地さんは、藤田和日郎さんが語っていた、ドラマでは欠けたものが埋まる、という趣旨の言葉を手がかりにしたと話しています。
おじさんには何が欠けているのか。
福地さんはその問いから、欠けたもう片方を能力で必死に探す人物を思いついたと振り返ります。
能力の不便さが、人物の探しものとつながっていたのです。

福地さん自身、この短編を『うえきの法則』のパラレルのようなつもりで描いたと説明しています。
能力を得ても戦いに参加せず、忘れられた人物がいても面白い、という発想でした。
まとめ
福地さんの能力ものには、『ジョジョ』第4部から受けた刺激があります。
そして『片岡さんのもう片方』では、友情の物語を考える中で、片方しか出ない能力が生まれていました。
この短編では、片方しか出ない不便さと、欠けたものを探すおじさんの事情が重なっています。
能力の設定を考えることと、人間関係のドラマを考えることが一緒になった発想なのです。



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