天堂地獄との最後の戦いで、烈火は裂神を呼び出すため、七竜を続けて召喚する。
その呼びかけに応える言葉が、竜ごとに違う。
円は烈火の力を評価し、塁は好きだったと伝え、刹那は天堂地獄を殺すと叫ぶ。
同じ烈火の炎でも、八竜にはそれぞれの人格がある。
烈火が全員に同じ理由で認められたわけではない。
円、塁、刹那との関わりをたどると、それぞれに違う、烈火と火竜たちの関係が見えてくる。
円が応えたのは、敵を救いたいという思い
円が目覚める場面では、烈火は自分と戦っていた音遠を救おうとする。
紅麗を守るために命を賭けた音遠へ、水鏡の氷柱が迫っていた。
烈火は結界を張り、音遠を守る。
円の力が必要になったのは、烈火が敵を倒そうとした瞬間ではなく、その敵を死なせたくないと思った瞬間だった。

この場面を踏まえると、円の結界は、誰を守るかという烈火の判断と結びついている。
戦っている音遠であっても、烈火は守る対象から外さなかった。
ただ、円がいつも優しく烈火に接するわけではない。
最後の召喚でも、円は烈火をけなしながら、その力を評価していると告げる。
円は口の悪さを残したまま、烈火の挑戦を認め、最後まで見届けようとする。
謎かけをする塁が、最後はまっすぐ励ます
塁は幻を操り、烈火にも謎を解かせる火竜だ。
烈火は塁の問いに答え、その力を借りるようになる。
塁の幻は烈火の対戦相手を惑わせるが、烈火も、塁の謎に答える側になる。

ところが最後の召喚で、塁は謎を出さない。
烈火への親愛を伝え、繰り返し励ます。
いつもは言葉や姿で人を惑わせる塁が、この時は気持ちをそのまま烈火へ届ける。
塁の言葉が胸に残るのは、別れの寂しさに加えて、この素直さがあるからだ。
烈火にとって塁は、幻を使える便利な力だけではなかった。
その力を貸してきた本人が、最後に烈火を好きだったと伝えてくれる。
戦いの中で借りていた炎に、一人の人物の思いが重なる。
刹那は、烈火を好きになったから応じたのではない
刹那との関係は、円や塁とは違う。
刹那は試練で烈火を本気で殺そうとする。
烈火に力を貸すからといって、刹那の残忍さが消えるわけではない。

最後の召喚でも、刹那が怒りを向けるのは天堂地獄だ。
刹那は天堂地獄が気に入らず、殺したいから烈火に応じる。
烈火への親愛を語る塁と、同じ気持ちになったのではない。
それでも、刹那の力は烈火の戦いに加わる。
烈火を好ましく思うことと、烈火に協力することは、刹那の場合には別なのだ。
最後までこの違いが残るため、七竜の召喚は、全員が一斉に同じ励ましを口にする場面にはならない。
円には円の評価があり、塁には塁の親愛があり、刹那には刹那の敵意がある。
烈火の呼びかけに応えるたび、それぞれが何を思っているのかも伝わってくる。
八竜の炎には、戦うための力と、その力を貸す人物の声が、最後まで一緒に残っている。


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