雪菜を救うために戦った桑原は、ようやく彼女と話せたとき、涙を流して謝る。
雪菜を苦しめていた垂金は、桑原と同じ人間だった。
桑原は救出が済んだあとも、彼女が人間からどれほどひどい目に遭わされたかを気にかけている。
その謝罪に続くのが、人間全員を嫌いにならないでほしいという願いだ。
桑原は、傷ついた雪菜に許しを求めずに、人間には優しい者もいることを伝えようとする。
謝られた桑原が、雪菜の傷に目を向ける
最初に謝ったのは雪菜だった。
桑原のけがを治しながら、自分を助けるために傷ついた彼を気遣う。
治療を受けている桑原は、彼女の両腕に残るやけどの跡に気づく。

自分のために傷ついた桑原に申し訳ないと思う雪菜と、その雪菜が受けた仕打ちを思う桑原。
二人は、それぞれ相手の傷を気にしている。
自分もけがをしている桑原が、雪菜の痛みを思いやって謝り返す。
ここには、助けた相手の苦しみを他人事にできない優しさがある。
雪菜を痛めつけたのは垂金であり、桑原自身ではない。
それでも、彼は同じ人間として申し訳なさを感じている。
謝る側に回った桑原は、雪菜が受けてきた仕打ちのひどさを、彼女に向かって言葉にしているのだ。
許しを求めず、人間を嫌いにならないでほしいと頼む
桑原は、雪菜が受けた仕打ちを認めたうえで、許してほしいとは言わないと告げる。
人間にも優しい者がいることは、垂金のしたことを水に流す理由にはならない。
そのつらい経験をなかったことにせずに、桑原は、自分の周りにいる気のいい連中のことを話し始める。
口ではバカばかりだと言いながら、仲間たちの優しさは信じている。
桑原が雪菜に知ってほしいのは、そういう人間もいるということだ。
垂金のような人間ばかりだとは思わないでほしい。
その願いが、人間全員を嫌いにならないでほしいという言葉になる。

桑原は顔を伏せ、言葉を詰まらせながら頼む。
傷ついた雪菜へ懸命に気持ちを伝えようとする姿が、この頼みを切実なものにしている。
雪菜にとって、桑原も「気のいい人間」だった
雪菜は、そんな桑原に、人間が好きだと答える。
この返答の「人間」には、「あなた」と読み仮名が振られている。

桑原が気のいい人間として挙げたのは、自分の周りの仲間たちだった。
雪菜にとっては、いま目の前にいる桑原も、まさにその一人である。
自分を助けるために戦い、救われたあとにも、人間を嫌いになってしまわないかと気にかけてくれる。
人間には優しい者もいるという桑原の言葉を、彼自身が行動で示していたのだ。
雪菜の返答は、人間一般への気持ちを述べると同時に、桑原への好意も伝えている。
彼女を心配していた桑原が、今度は彼女の言葉に安心させられる。
救出した側と救出された側が、お互いを気遣う会話になっているところに、この場面の温かさがある。


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