伊藤美緒は、西条とのポーカーに森田を誘った女性である。
森田は美緒たちを助け、西条との大勝負にも勝つ。
その後、美緒は森田へ告白するが、森田は交際を断ってしまう。
美緒の好意は、森田が大金を持っていると分かってから始まったものではない。
森田は、この時点では恋愛より、裏社会でのし上がることを優先する。
二人の関係は、金を得た森田に何ができるようになったかだけでなく、森田が何を選ぼうとしていたかも見せている。
美緒は、森田の資産を知る前から近づいていた

美緒は、森田が通う喫茶店のウェイトレスだった。
森田の資産や勝負師としての実力を知らない頃から、森田に関心を持っている。
同僚が森田を貧乏そうだと言った時にも、美緒は笑っていた。
大金を持つ客だと知って近づいた、という出会いではない。
その後、美緒の誘いで、森田は西条たちのポーカーを見ることになる。
西条は金を積み、美緒たちが同じ額を出せないことを利用して勝とうとする。
森田はそこへ割って入り、西条より高く札束を積む。

この勝負で、美緒は森田の資金力を知る。
さらに再戦では、森田が西条のイカサマを破って勝つところまで見届ける。
美緒が森田の実力を知り、好意を深めていく経緯はある。
ただ、森田を気にかけ始めたのは、それより前だった。
助けられた後の感謝だけで、二人の関係が始まったわけでもない。
森田は、美緒との交際より裏社会の勝負を選ぶ
美緒の告白に、森田は今はそれどころではないという理由で断る。
森田はすでに、銀二を超えて「金」と呼ばれたいと語っていた。
森田が目指しているのは、大金を持つことに加え、銀二を超える勝負師になることだった。
美緒との交際が始まりそうな時にも、森田の関心は裏社会での挑戦へ向いていた。
この返事を聞いた安田は、森田をへたくそだと評する。
安田は、自分も前からいいと思っていたとか、「I NEED YOU」とか言って、相手をつなぎとめておけばよいと勧める。

安田が考えているのは、困った時に頼れる相手を残しておくことだ。
行き詰まった時でも、女性のもとへ転がり込めば、食べて寝るくらいはできると話す。
美緒と付き合いたいかどうかより、好意を持ってくれた相手との関係を保つ得を見ている。
森田は、そのように美緒を引き留めてはいない。
自分の関心が別に向いているまま、交際の申し出を断った。
安田なら将来のために関係を保とうとするところで、森田は、今は交際できないという返事をしていたのである。
美緒にとって、西条との勝負は森田への好意を深める出来事になった。
森田にとっては、銀二を超えるために重ねていく勝負の一つだった。
勝負を経て森田へ近づこうとする美緒と、次の挑戦へ進もうとする森田。
告白を断る場面では、二人がその時に望んでいたことの違いが表れている。


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