安西信行さんの『烈火の炎』は、冒頭から烈火と土門の喧嘩を、派手な表情や落とし穴のギャグで見せています。
『鋼鉄日記』では、安西さん自身も漫画の登場人物になり、家族や仕事仲間と掛け合います。
二つの作品の場面を並べると、笑いを作る表情や動きと、日記漫画ならではの楽しさが見えてきます。
『烈火の炎』では、喧嘩の勢いが落とし穴の笑いへ
『烈火の炎』の第1話は、自称忍者の烈火と、烈火に挑む土門の対決から始まります。
拳を振るう土門と、飛び散る破片が大きく描かれ、烈火は身軽にかわします。
烈火が自分は忍者だと名乗る場面は、顔と手を大きく描いたコマで強調されています。

次のページでは、迫る土門が地面の穴へ落ちます。
烈火は顔を大きく崩して笑い、土門は落とし穴を作った烈火に怒ります。
強い拳を描いた場面から、罠に落ちた土門と、得意げな烈火のやり取りへ続くのです。
戦いの動きと、相手への反応の大きさが、同じ喧嘩の中にあります。


『鋼鉄日記』では、作者自身が誇張される
『鋼鉄日記』は、安西さんの日常を描いたエッセイ漫画です。
安西さんは、漫画家を休業していた時期から、再び仕事を始めるまでの話も描いています。

第1話では、自作のキャラクターを相手に話す安西さんが登場します。
下ネタを話す安西さんにツッコミが入り、家では妻から何を描くつもりなのかと聞かれます。
安西さん自身の大きく開いた口や、妻の言葉に慌てる表情も、掛け合いの一部になっています。
長編の人物を動かしてきた作者が、今度は自分の顔まで崩して描いているのです。
声優の岡野浩介も、日記の掛け合いに登場する
安西さんが2014年に公開した『鋼鉄日記』の一部には、声優の岡野浩介さんが登場します。
岡野さんは、アニメ『烈火の炎』で主人公・烈火の声を担当した人です。
安西さんは、烈火の声を担当してもらって以来の付き合いだと紹介しています。

岡野さんは、丸い頭と小さな体で、元気に挨拶する人物として描かれています。
続くコマで安西さんは、岡野さんの頭にハリセンが当たるやり取りを描いています。
作品を作るうえで出会った人が、今度は作者の日記の中で、コミカルな登場人物になっています。
『鋼鉄日記』が始まるまでの経緯を知ると、仕事を通じたつながりが、新しい漫画の中にも現れていることが分かります。
まとめ
『烈火の炎』の冒頭でも『鋼鉄日記』でも、人物の大きな反応が笑いを作っています。
『鋼鉄日記』では、その役を作者自身や、作品を通じて知り合った人たちも担います。
長編の作者の近況を知るだけでなく、作者も漫画の登場人物として楽しめるところに、この日記の面白さがあります。


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