安西信行の師匠は藤田和日郎?独立後も続いた交流と「獣の槍」の仕事

2019年のいちあっぷの取材で漫画について語る藤田和日郎 安西信行
藤田和日郎/いちあっぷ、2019年の取材写真。

安西信行さんは、藤田和日郎さんのアシスタントを務めていました。
自分の連載を目指して仕事場を離れた後も、二人の交流は続いています。
『うしおととら』の復活読み切りでは、漫画家として独立した安西さんが、再び「獣の槍」を描きに参加しました。
本人たちの言葉から、二人の関係をたどります。

藤田和日郎の仕事場を離れ、自分の連載を目指す

安西さんは、『R・PRINCESS』の回想で、初連載の前に藤田さんのアシスタントを辞めたと書いています。
四回の短期集中連載『迷える子羊』を制作していた頃のことでした。
安西さんは、アルバイトをする時間も自分の連載のネームに使いたいと考えていました。

安西信行のR・PRINCESS第1巻の表紙
『R・PRINCESS』第1巻/安西信行、小学館。 出典

描いても、描いても、連載の企画は通りませんでした。
アシスタントで貯めたお金も尽き、故郷へ帰ることを考える状況になります。
最後のつもりで作った第1話が『R・PRINCESS』でした。
本人は、最も肩の力を抜いて作った話だったため、これでよいのかとも思ったと振り返っています。

『R・PRINCESS』は1994年に始まった初連載です。
翌年には『烈火の炎』が始まりました。
安西さんの初連載からの作品歴には、仕事場を離れ、自分の漫画を連載できるまでの苦労もあります。

独立後、サイン会で疲れた藤田和日郎から電話が

安西さんの2003年のコメントには、二人の気さくなやり取りがあります。
安西さんが幕張のサイン会を終えた翌日、半身浴で疲れを癒やしていると、藤田さんから電話がありました。
藤田さんも、その日にサイン会をしていました。

少年サンデーのまんが家バックステージ安西信行欄に掲載された青い顔のイラスト
まんが家バックステージ安西信行欄のイラスト/小学館。 出典

普段はとてもテンションが高い藤田さんも、その日は疲れていたと安西さんは書いています。
安西さんは、藤田さんにも半身浴を勧めました。
自分の連載を始めた後の二人は、こうして仕事の疲れについて話すこともありました。

復活した『うしおととら』で、再び「獣の槍」を描く

2012年、『うしおととら』の復活読み切りの制作に、かつてのアシスタントたちが集まりました。
『烈火の炎』を描いた安西さんも、その一人です。
安西さんは参加前、久しぶりに武器を描きに行くと投稿し、藤田さんは安西さんへ仕事を頼む言葉を返しています。

うしおととらの復活読み切りで、安西信行が描いた獣の槍を紹介した藤田和日郎のコマ
『うしおととら』「火炎特急 不知火」のコマ/藤田和日郎、小学館。藤田の2021年の投稿で安西の作画として紹介。 出典

藤田さんは2021年の一連の投稿で、この読み切り「火炎特急 不知火」を振り返り、元アシスタントたちが描いた槍を紹介しました。
その中で、安西さんの描いた槍のコマも示しています。
安西さんは獣の槍を描くのが大好きだと伝えていたそうで、藤田さんは、その愛着を喜んでいました。

このコマは、独立後に復活読み切りへ参加した安西さんの仕事です。
安西さんがかつて描いた武器を、再び藤田さんの漫画の中で描く機会になりました。

藤田和日郎が覚えている、安西信行たちとの会話

藤田さんは2019年の取材でも、仕事場から独立した安西さんや雷句誠さんたちについて語っています。
藤田さんは、二人とも面白く、会話も楽しく、それぞれに譲れないものがあったと振り返りました。
漫画が好きで、何とかチャンスをつかもうとしていたとも語っています。

2019年のいちあっぷの取材で漫画について語る藤田和日郎
藤田和日郎/いちあっぷ、2019年の取材写真。 出典

この取材では、アシスタントの仕事を通じて、技術を磨き、プロが漫画を作る環境を見られることも説明しています。
藤田さん自身にとっても、アシスタントは漫画の相談相手です。
自分が面白いと思ったことを周りはどう受け止めるか、会話を通じて確かめられると語りました。

2019年の取材で紹介された、藤田和日郎の仕事場で作画するアシスタント
藤田和日郎の仕事場/いちあっぷ、2019年の取材写真。安西の在籍当時の写真ではありません。 出典

まとめ

『うしおととら』の復活には、作品の登場人物だけでなく、その漫画を作った人たちも再び集まりました。
自分の連載へ進んだ安西さんが、また獣の槍を描く。
二人の師弟関係をたどる面白さは、安西さんの独立までの経歴に加え、独立後にも一緒に漫画を作った仕事を見つけられるところにあります。

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