和月伸宏さんは、担当編集者にネームをボツにされたら、まず理由を聞くと話しています。
指摘を受け入れたうえで、言われた通りに描き直すだけでは終わりません。
通る案を考え直すか、別の面白い案を探す。
本人にとって編集者との打ち合わせは、作品を完成へ近づける場であると同時に、目の前の一人を楽しませられるか試す場でもあります。
打ち合わせに持っていく前に、自分で形にする
和月さんは集英社の若手作家との対談で、読切や新作の相談について話しました。
自分の中でまだまとまっていないものを見せることには抵抗があり、ある程度形にしてから担当編集者に見せるそうです。
そのため、打ち合わせで大きく直すことは少なかったと振り返ります。
それでも、案が丸ごとボツになった経験はあります。
和月さんは、何度か相談しても形にならない案は見送っていたとも話しました。
思いついた案に際限なく手を入れ続けるわけではなく、前へ進めるかを判断しています。
話をどう組み立ててネームにするかは、ネーム作りの記事で紹介しています。

ボツの理由を聞き、指摘の先を作る
描きたいネームに担当編集者が難色を示したら、和月さんは何が問題なのかを聞き、意見として受け取ります。
そこから通るものを考えるか、別の面白いものを目指すと説明しました。
担当編集者が面白くないと感じた点を無視しても、読者には届かない。
一方で、指摘された箇所を言われた通りに直すだけでも、作品の面白さは増えないと和月さんは考えています。
対談では、かつて担当者から、修正の指示にさらに一手を加えるか、まったく別の面白さを作ることが必要だと言われた経験を紹介しました。
相手の意見を聞いてから、自分で次の案を出すのです。
何を守り、何を変えるかを分ける
表現が少年誌の掲載基準にかかる場合も、和月さんはすべてを譲れない問題とは考えていません。
作品の中心に関わらない表現なら、別の面白い見せ方を探したほうがよいという考えです。
ただ、『るろうに剣心』では一度、シリーズの中心に関わることだったため、担当編集者を説得したと話しています。
この対談では、説得した場面や表現の具体名までは示されていません。
分かるのは、指摘を受けたとき、いつも押し通すわけでも、いつも引き下がるわけでもないことです。
その表現が作品の中心に必要かどうかを判断していました。
担当編集者は、最初に楽しませる読者
和月さんは、まず目の前にいる担当編集者を面白がらせたいと話しています。
担当者は作品や作者を理解したうえで読む人です。
その人にさえ魅力が伝わらない案を、もっと離れた読者へ届けるのは難しいという考えでした。
2025年刊の『るろうに剣心 magazine 令和七年 夏』には、和月さんと初代担当編集・佐々木尚さんの対談も収められています。
まとめ
和月さんは、ボツを受けたら理由を聞き、作品の中心に必要なものを見極めたうえで、次の案を自分で作ります。
担当編集者の役割は、作者の代わりに答えを出すことではありません。
完成前の作品に最初に反応する読者として、その案の弱いところを知らせる存在です。
和月さんは、その反応を受けて、前より面白い案を自分で作ろうとしています。


コメント