椎名高志と高橋留美子はどんな関係?対談で語った影響と交流

椎名高志が描いた絶対可憐チルドレンと半妖の夜叉姫のコラボイラスト 椎名高志
椎名高志による『絶対可憐チルドレン』と『半妖の夜叉姫』のコラボイラスト/2022年対談掲載。

椎名高志にとって、高橋留美子は漫画家を目指すきっかけになった大先輩です。
高橋も、初期の『(有)椎名百貨店』から椎名の作品を読み、その人物描写を評価していました。
2022年の対談では、憧れの作品との出会いから、互いの仕事を見続ける交流までが語られています。

『うる星やつら』の人物に驚いた中学生

椎名は2022年1月の高橋との対談で、中学生の頃、連載が始まったばかりの『うる星やつら』を読んだと振り返っています。
SFコメディが好きだった椎名を驚かせたのは、登場人物が本当にいるように感じられることでした。
漫画でこんな人物を描けるなら、自分もその世界へ進みたいと思ったのです。

高橋留美子のうる星やつら新装版第1巻の書影
『うる星やつら』新装版第1巻/高橋留美子、小学館。 出典

椎名が挙げたのは、人物が口にした言葉と、その人の本心が一致するとは限らないところです。
『うる星やつら』や『めぞん一刻』では、自分に嘘をついたり、口には出さない欲望に従って行動したりする人物がいます。
そうした人間らしい複雑さがありながら、漫画は騒がしく、楽しい。
椎名は、その両立に衝撃を受けたと話しました。

高橋は、自分ではそこまで意識していなかったと応じています。
本人の説明では、まず自分が楽しく描き、読者にも笑ってもらうことを考えていました。
読んできた小説などの影響が、描く中でうまく表れたのかもしれない、と振り返っています。

短編のページ配分も研究していた

椎名は、新人の頃、高橋作品を読むだけでなく、話の進め方も調べていました。
40ページの短編なら、10ページ目や20ページ目で話がどこまで進み、何が起きているかを確認したといいます。
途中でどのように展開を変えると、最後まで面白く読めるのか。
高橋作品のテンポを、漫画を作るための手がかりにしていたのです。

椎名は、困ったときにも高橋作品を読み返していたと話しています。
サンデーへ投稿した理由を、高橋がいたからなのかと尋ねられたときも、椎名は肯定しました。
好きな作品の作者がいる雑誌は、椎名にとって自分の漫画を届けたい場所でもあったのです。

高橋も『椎名百貨店』から作品を読んでいた

高橋が最初に読んだ椎名作品は、『(有)椎名百貨店』でした。
増刊号に載っていた四コマを読み、そのうまさから、どんな仕事をしてきた人なのか気になったと話しています。

続いて『GS美神』の連載が始まると、高橋は勢いのよさに加え、人物にも気を配っている点を評価しました。
高橋は、その後の椎名作品にも、勢いと人物描写の両方があることを魅力として語っています。
自分が漫画家を志すきっかけになった作者は、椎名の作品にも目を向けていたのです。

会う機会が少なくても、漫画を通じてつながる

二人が初めて挨拶を交わしたのは、漫画家仲間が集まった屋形船でした。
椎名は、高橋のアシスタントをしていた妻の送迎で、高橋の仕事場を訪れることもあったと話しています。
椎名は、仕事場へ行くたびに緊張していたといいます。
高橋は、話し始めると楽しくて、長くなったこともあったと振り返りました。

二人は、頻繁に会う間柄ではないとも語りました。
椎名は、漫画家同士は相手の仕事を見ているので、会わなくてもつながっているように感じると説明しています。
高橋も、作品を読むと相手が元気そうか、どんなことを考えているかが伝わってくると応じました。

『GS美神』には、高橋本人をモデルにした人物も登場します。
椎名は、美神の上司の若い頃を描く場面に、1970年代のサンデーに関わる人物を入れたかったと説明しました。
本人に登場をお願いすると、高橋は了承したそうです。

GS美神に登場する高橋留美子をモデルにした人物
『GS美神 極楽大作戦!!』に登場する、高橋留美子をモデルにした人物/椎名高志、小学館。 出典

やがて椎名は、高橋がメインキャラクターデザインを担当したアニメ『半妖の夜叉姫』の漫画化を手がけます。
高橋作品を研究していた椎名が、今度は高橋の作った人物を自分の漫画で描く仕事へ進みました。
高橋は、その第1話のネームを面白く読んだと語っています。

まとめ

対談で高橋は、会っていなくても相手の作品から近況や考えていることが伝わると話しています。
高橋作品を研究していた椎名は、自分の漫画も高橋に読んでもらう関係になりました。
二人の対談には、作品を読んで学ぶ関係と、同じ漫画家として互いの仕事を楽しむ関係が重なっています。

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