『なるたる』『ぼくらの』を描いた鬼頭莫宏さんは、ニンテンドーDS用ゲーム『デビルサバイバー2』で、侵略者セプテントリオンをデザインしました。
制作では、アトラスから受けた設定をもとに複数のラフを提案し、スタッフと形を詰めています。
細部を増やすより、余分なものを削ることを重視したと話しています。
依頼は、具体的な形を決めないところから

2011年の本人インタビューによると、最初の依頼は、無機質で生き物らしくない、神の使いを思わせる存在でした。
アートディレクターの古東晃子さんは、アトラスだけでは形にできない発想を求め、見本の絵はあえて渡さなかったといいます。
鬼頭さんは物語と戦闘に必要な条件を受け取り、思いつく姿をラフにしました。
提案した複数の案から、決定権を持つアトラスが選び、一緒に仕上げていく仕事だったのです。
ドゥベは、蓮の発想から「膨らむ」姿へ
日曜の侵略者ドゥベには、膨らんで爆発するという設定がありました。
鬼頭さんは最初に蓮を思い浮かべ、そこから膨らむ印象が強くなったと振り返っています。
ラフには、穴のある蓮のような案と、丸く膨らんだ案の両方が見られます。
出来上がった姿は、桃色の丸い部分と、色鮮やかな尖った部分を組み合わせたものです。
本人は、最初に現れる強大な存在が滑稽に見える、という方向もありだと考えた記憶を話しています。
見た目から油断しても、戦うと手強い。
その食い違いを楽しんでもらう狙いがありました。
DSで見やすく、戦い方に合った形にする
インタビュー第2回では、DSで分かりやすく見せるため、細かな部品を付けすぎないよう考えたと話しています。
どこで、どのような攻撃をするのかを聞き、スタッフと意見を交換していました。
月曜の侵略者メラクでは、もっと紙のように薄くしたいという鬼頭さんの考えと、ゲームとして表現する都合との調整がありました。
自分の思い描く形を、そのまま渡して終える仕事ではなかったのです。
制作側への取材で、高田慎二郎さんは、セプテントリオンを人間や悪魔とも異なる存在として説明しています。
古東さんも、生物というより武器や兵器に近いものが出発点だったと振り返りました。
その役割や機能を、何度もやり取りしながら姿に取り込んでもらったと話しています。
奇妙な姿にも、ゲームの中で担う働きがありました。
離れた場所で、現場とやり取りする

鬼頭さんは自分の仕事もあるため、開発現場で一緒に作業するのは難しかったと話しています。
第2回の取材では、変わった動きの案を出すことで、ゲームのマップが成り立たなくなるのではないかと迷ったことも語っています。
その距離を埋めたのが、スタッフからの丁寧な返信や、開発現場の雰囲気を伝える連絡でした。
形の修正点だけでなく、現場の様子も知れたことを、鬼頭さんはありがたかったと話しています。
まとめ
セプテントリオンの不思議な姿は、鬼頭さんの発想と、ゲームの中で何をする存在なのかをすり合わせて生まれました。
スタッフが役割や戦い方を伝え、鬼頭さんが姿を考える。
古東さんが語った共同作業を知ると、異形の面白さを、完成画だけでなく、互いの案に応えながら作る過程にも見つけられます。






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