ペン入れを終え、鉛筆の下描きを消したら、絵の勢いまで薄くなったように感じる。
『CLAYMORE』の作者・八木教広も、この悩みを経験していました。
八木さんの工夫は、下描きのコピーを手元に残し、ペン入れした絵と見比べることです。
迫力が足りなければ描き込みを増やし、下描きで出た印象を完成原稿にも残そうとしていました。
北野の迫力を出したくて、下描きに立ち返った
この方法を始めたのは、前作『エンジェル伝説』を描いていた頃です。
主人公の北野誠一郎は、気の優しさと、周囲を怖がらせる顔つきの落差が笑いを生む人物でした。
八木さんは北野にもっと迫力を出したいと思いながら、絵に自信を持てずにいました。
そこで目に留まったのが、たまたま保存していた下描きのコピーでした。
八木さんはその絵を参考にして、ペン入れするようになったと振り返っています。

少年ジャンプSQ.の対談で、この方法を聞いたのは漫画家の賀来ゆうじさんです。
賀来さんも、鉛筆線を消した後の絵が物足りなくなることに悩んでいました。
鉛筆線を消すと、完成原稿には下描きが残りません。
コピーを保存しておけば、消してしまった絵とも見比べられます。
八木さんは、迫力を出したい場面の下描きを、ペン入れのお手本として残していたのです。
下描きが速くなっても、仕上げには時間をかける
八木さんは同じ対談で、連載を続けるほど下描きが速くなり、勢いの乗った絵を描けるようになったと話しています。
ところが、ペン入れの時間は、むしろ長くなっているかもしれないというのです。
絵を描けるようになると、自分に足りない部分も見えてくる。
八木さんはそこを補おうと描き込みを増やし、時間が足りなくなると説明していました。
下描きの速さと、完成原稿をよりよくしたい気持ちは、別々の工程で表れていたのです。

まとめ
賀来さんは、ペンに慣れれば下描きの勢いを出せるはずだと思っていたそうです。
八木さんの方法を聞くと、賀来さんはさっそく取り入れると応じました。
経験豊かな作者にも同じ悩みがあり、その作者は、うまく描けた下描きを残して完成原稿と比べていた。
ペンに慣れることに解決を求めていた賀来さんにとって、自分の下描きを使って試せる方法が見つかった対談でもありました。

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